みなさんは「OMO」という言葉を聞いたことがありますか?
「オンラインとオフラインの融合」を意味するOMOは、マーケティングの世界で注目のキーワードでした。
ウィズコロナ、アフターコロナの世界では、この動きはますます加速していくと考えられます。
こんな方におすすめ
- 言葉は聞いたことがあるけど、詳しく意味を知らない
- ビジネス観点でどうして注目されているのかわかならい
- ウィズコロナ、アフターコロナの世界でOMOがどのように広がるかについて理解したい
MBA流基礎から学べるビジネス用語では、明日から使えるキーワードについて、MBAホルダーが初心者向けにわかりやすく解説します。
本記事では、今注目のキーワード「OMO」についてご紹介します。
OMOとは
小売業界では「OMO(Online Merges with Offline)」がキーワードとして注目されています。
OMOはオフラインとオンラインの垣根をつくらず、2つの特性を融合させてビジネスを行うのが特徴です。
突然ですが、皆さんは本を買う時どこで購入しますか?
自宅で本を受け取りたいときはAmazonなどオンラインで購入するかもしれないですし、中身を見て購入したいときは書店で購入するかもしれません。
このように、現代の消費者はオフラインとオンラインの垣根を越えて、ケースバイケースでその時一番便利な方法を使い分けています。
OMOの世界では、オフラインとオンラインそれぞれの顧客データが一元的に統合され、顧客の行動分析に基づく新しい顧客体験が提供されます。
2019年に発売された『アフターデジタル』には、OMOはアフターデジタル時代における成功企業が共通で持っている思考法だと書かれています。
具体的なOMOのイメージはこうです。
ソファーに座って口頭でフードデリバリーを注文することや、家の冷蔵庫にあるミルクが足りないことを察知してショッピングカートへ追加をサジェストすることは、もはやオンラインでもオフラインでもない。
この融合された環境をOMOと言い、ピュアなECからO2Oに変わった世界をさらに進化させた次のステップである。
(出典)アフターデジタル
数年前までは、オンライン(EC)からオフライン(店舗)への送客を促すO2O(Online to Offline)や、オムニチャネルというキーワードが流行していました。
しかし、さまざまな技術革新によって、現在はオンラインとオフラインの境目が曖昧になっています。
最近では、ビジネスの基盤はオフラインにあり、オンラインは付属しているに過ぎないという考え方は過去のものになりつつあります。
データを新しい顧客体験(CX)向上のために還元していくというOMOの考え方が、これからのマーケティングで非常に重要な概念になっているのです。
中国では高級品にもOMOの波
日本では、これまでリアルで顧客と接点があり、たまにオンラインも活用するというビフォアデジタル的な活用にとどまっていました。
一方、グローバルで最もOMOが進んでいる中国では、大手ECサイトや小売企業がこぞってオフラインとオンラインの障壁をなくす施策に注力しています。
この流れは、アクセサリーやアパレル、美容商品、時計といった高級品やブランドなど、高級品の販売にも拡大しています。
マッキンゼーの調査結果によると、高級ブランドの商品を購入する際、オンラインから影響を受ける消費者は8割を超えるとのデータもあります。
高級品の購入時には、事前にオンラインで商品について検索しているということです。
また、この調査では、高級商品をオンラインで購入する消費者は、2025年には3倍以上(2016年比)になると予測しています。
実際に、中国では高級品をECサイトで購入する人が増加傾向です。
特にジェネレーションZ(1990年代半ばから2000年代前半生まれの世代)と呼ばれる若い世代では、オンライン上での高額商品購入の抵抗が少なくなってきているようです。
ウィズコロナ、アフターコロナ時代に加速するOMO
世界中に未曾有の被害をもたらしたCOVID-19は、私達の生活様式を一変させました。
長期間にわたり自宅での自粛生活を余儀なくされた結果、オフライン中心にビジネスを行っていた小売業、百貨店、外食などの産業は、軒並み4月の売上を落としています。
一方で、オンラインで購入できるチャネルを持っていた企業の多くは、消費者の「巣ごもり消費」や、これまでECを利用しなかった層の需要に応えることができ、EC売上が堅調な結果となりました。
ウィズコロナ、アフターコロナの世界で、私達の生活はこれまで以上にオンラインの比重が高まることに間違いありません。
そして、オンラインとオフラインの垣根はどんどんなくなっていくことでしょう。
これまでも、この流れは予想されていましたが、今回のコロナ禍をきっかけにそのスピードが加速しました。
もはや、この流れに対応できなければ、企業の存続も危ういかもしれません。
ウィズコロナ、アフターコロナで、OMOの加速がおきそうな変化として予想されることを3つあげてみます。
①キャッシュレス決済が加速
現金文化の根深い日本も、昨年からようやくキャッシュレス決済の流れが急速に浸透しはじめてきました。
今回のパンデミックをきっかけに、感染防止の観点からも非接触のキャッシュレス決済がますます普及するでしょう。
キャッシュレス化が進むことで、デジタル化の流れは加速され、ますますOMOの流れは止まらなくなると予想されます。
②店舗のショールーム化
ECによるオンライン購買が増えることで、オフラインのリアル店舗は、位置づけやその役割が変わっていくでしょう。
リアル店舗は、オンライン上では難しいブランドの世界観を感じたり、リアルな場でしかできない体験を提供する場になっていくでしょう。
そして、オフラインがショールーム化することで、オンラインと相乗的に売上があがっていくという世界が予想されます。
これは、D2Cブランドを推進する企業で、もともと言われていた考え方で、この流れがさらに加速するものと思います。
D2Cについて詳しく知りたい方は、こちらの記事を読んでいただければと思います。
-
MBAが解説するビジネス用語「D2C」
みなさんは「D2C」という言葉を知っていますか? D2Cは2000年代後半からあるビジネスモデルですが、EC市場の拡大、SNSの普及によって、近年改めて小売業界で注目度が高まっているキーワードです。 ...
続きを見る
③モバイルオーダーの増加
ウィズコロナの世界では、店内飲食を敬遠する消費者が増えることでモバイルオーダーのサービスが加速すると思います。
モバイルオーダーは、スマートフォンで事前に注文を行っておき、指定の時間に店舗に取りに行く仕組みです。
吉野家、スターバックス、マクドナルドなど様々な外食企業がモバイルオーダーの仕組みを取り入れていて、待ち時間なくテイクアウト購入ができる新しいユーザー体験を提供しています。
テイクアウトアプリ「menu」は、都内の飲食店2300店舗以上が登録されていて、スマートフォンから注文と決済を行い、指定の時間にお店に取りにいくことで待ち時間なくテイクアウトができるサービスです。
飲食業界もオフラインでの価値提供のみにこだわるのではなく、こういったオンラインとオフラインを融合させた新しいユーザー体験の提供が不可欠になってくると予想されます。
さいごに
ウィズコロナ、アフターコロナで注目のキーワード「OMO」について、理解が深まったでしょうか。
興味がでて、もう少し深くOMOについて勉強したい方は、下記の本を読んで理解を深めましょう。
『アフターデジタル』は、IT業界に就職を希望する人は必読の一冊なので、まだ読んでいない人はぜひ読んでみてください。
また、ビジネス用語を手軽に基礎から学習したい方には、動画で簡単に学習できる【グロービス学び放題】がおすすめです。