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MBAが解説するビジネス用語「サンクコスト」

サンクコスト

みなさんは「サンクコスト」という言葉を知っていますか?

  • 言葉すら聞いたことがない
  • 言葉は聞いたことがあるけど、詳しく意味を知らない
  • サンクコストの考え方をビジネスや日常生活でどのように活かすか知りたい

MBA流基礎から学べるビジネス用語では、MBAホルダーが初心者向けにわかりやすく解説します。

ビジネスはもちろんのこと、日常生活でも役に立つ「サンクコスト」という考え方について、勉強していきましょう。

 

サンクコストとは

サンクコスト(Sunk Cost)とは、すでに発生してしまい回収できないコストのことを言います。

英語でSunkは「沈む」という意味で、沈んで取り戻すことができない状態であることから、別名「埋没費用」と呼ばれます。

コストには、お金はもちろんのこと、かけた時間や労力などの人的コストも含まれます。

 

サンクコストは、ファイナンスや経済学で使われる用語です。

ビジネスの世界では、投資判断などの意思決定の際にこの考え方が使われます。

 

サンクコストの考え方をわかりやすくひとことで言ってしまえば、「もったいない」と感じる感情です。

サンクコストはすでに回収できないことが決まっているものなのに、これまで自分が費やした費用が大きかったり、時間が長かったりするほど「元を取りたい」という持ちが働きます。

このもったいないという考え方が、損失を拡大させたり、新たに得られるかもしれない利益のチャンスを逃すことにつながるのです。

 

サンクコスト

ビジネスにおけるサンクコストの事例

A社は、新規事業立ち上げのために1年前からこれまでに累積1億円の投資を行ってきました。

新規事業責任者は事業拡大のためにはB社との提携が必要だと考えていて、かかる費用は追加で3,000万円です。

この新規事業は現在のところ赤字ですが、追加投資を行うことで5,000万円の売上増が見込めます。

 

あなたなら、この追加投資を行いますか?

 

このケースの場合、新規事業をここで中止してもこれまで投資した1億円は戻ってきません。

一方、追加投資をしてB社との事業提携をすすめたとしても1億円は返ってきません。

つまり、1億円はA社にとってサンクコストです。

今回行うB社との提携に伴う追加投資判断において、過去に投資してしまった1億円は考慮する必要がないのです。

 

なので、この場合であれば3,000万円の投資に対して、5,000万円のリターンがあるという考え方に基づいて、投資した方がよいということになります。

もったいない精神が働くと、つい1億3,000万円を全額回収したくなってしまうところですが、過去は振り返ることなく現時点の費用対効果で判断することが大事です。

 

日常生活におけるサンクコストの事例

BさんはあるECサイトで、毎月3,000円のサプリを購入していました。

サプリを継続購入すると、会員ランクがあがっていく仕組みになっていて、Bさんは半年以上購入を続けたことで「ゴールドステータス」になっていて、20%引きでサプリを購入できます。

ゴールドステータスになるためには、半年間の継続購入が必要条件です。

サプリはあまり効果がないなと感じはじめていましたが、20%引きの権利がなくなるのはいやだなとも感じています。

 

あなたなら、サプリの購入をどうしますか?

 

半年以上、購入し続けたこと、その結果ゴールドステータスになっていることはサンクコストです。

つまり、ここでの意思決定では、2,400円で購入する以上のリターンがあれば購入を続けるべきだし、2,400円の価値がないと思えば購入をストップするべきです。

決して、半年かけて獲得したゴールドステータスを維持し続けるかどうかを、意思決定の判断要素に入れてはいけません。

 

キャリアにおけるサンクコストの事例

学生のCさんは、将来食いっぱぐれないような資格を取りたいと思い税理士をめざして勉強をはじめました。

予備校に通うため100万円の費用を払い、2年間勉強を続けた結果、合格に必要な5科目のうち2科目を合格しました。

 

しかし、勉強を続けるうちに、資格取得後の仕事が想像していたものと異なり、当初の憧れはうすらいできました。

最近ではベンチャー起業にも興味がわいてきて、先日起業した友人から「一緒にやらないか?」と誘いを受けました。

 

あなたならどうしますか?

 

この事例では、予備校に払った100万円と、2年間勉強に投じた時間がサンクコストです。

2科目合格したからもったいない…という感情に、意思決定を左右されることなく、これから投資する時間やお金と、それに対するリターンを比較して意思決定をすることが重要です。

友人と起業する選択が正解とは限りませんが、サンクコストに目を向けてしまうことで、本来あなたの新たな可能性やチャンスを逃してしまうかもしれないのです。

 

サンクコストへの対処法

これまでの事例でみてきたように、サンクコストに引きづられることなく意思決定を行うためには、現在とこれから起こる未来に注目して意思決定することが重要です。

しかし、過去に発生してしまったサンクコストを考慮しないというのは、口で言うのは簡単ですが、実践するのがとてもむずかしいです。

その対処法として2つのポイントをご紹介します。

 

①未来のみを考え、ゼロベースで思考する

ひとつ目の対処法は、「ゼロベースで思考する」ということを強烈に意識することです。

意思決定時にサンクコストに引きづられそうになったときは、「今フラットな状態で何も制約条件がなかったらどうするか?」という視点で未来を考えるようにしましょう。

 

そうすることで、サンクコストから一旦離れ、未来に起こることを前提に意思決定を行うことができます。

ゼロベースで未来を考える時には、新しく生まれる時間や、得られるお金、空間などの余白など、新たな機会について考慮するようにしましょう。

 

②事前にルールを決める

もうひとつの対処法は、「事前にルールを決めておく」です。

 

人間どうしても「もったいない」というバイアスがかかってしまうので、サンクコストに引っ張られず意思決定を行うことは、想像以上に難しいです。

さきほどのA社の事例であれば、「今年1,000万円の黒字に達しない場合は事業中止」、Cさんの事例であれば「今年試験に合格しなかったら税理士試験は諦める」といったように、ルールを事前に決めておくことが有効です。

人間なので、サンクコストによるバイアスをゼロにすることは難しいかもしれませんが、事前にルールを決めておくことで、難しい決断を合理的に行うことができます。

 

さいごに

「サンクコスト」について、理解が深まったでしょうか。

サンクコストは、ビジネスで大切な考え方ですが、個人の生活においてもとても役立つ思考法です。

ビジネスの成功者は、このサンクコストの考え方が本当にうまいです。

 

みなさんはサンクコストに引きづられていませんか?

私もこの思考が、本当に苦手です。

 

これまで投資した時間やお金が「もったいない」という気持ちは、痛いほどわかります。

サンクコストの呪縛を振り払って、将来得られるリターンを最大化できる意思決定を行うためには時に「勇気ある撤退」が重要です。

非合理な感情を捨て、未来につながる合理的な意思決定ができるよう、日々トレーニングを行いましょう。

 

意思決定に関してもう少し勉強してみようと思った方には、こちらの本がおすすめです。



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就活、転職の際には、エントリー先の企業のビジネスモデルがどのような収益構造になっているかについて、できるだけ理解を深めておきましょう。

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