ビジネス用語

MBAが解説するビジネス用語「サブスクリプション」

サブスクリプション

みなさんも一度は「サブスク」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか?

「2019ユーキャン新語・流行語大賞」にもノミネートされたことでも、2019年「サブスク」が一気に世間に浸透したことが伺えます。

  • 言葉は聞いたことがあるけど、詳しく意味を知らない
  • ビジネス観点でどうして注目されているのかわかならい
  • サブスクのビジネス構造について理解したい

MBA流基礎から学べるビジネス用語では、そんな方に向けてMBAホルダーがビジネス用語を初心者向けにわかりやすく解説します。

ビジネス用語として当たり前に使われることが多くなった「サブスク(サブスクリプション)」について、勉強していきましょう。

 

サブスク(サブスクリプション)とは

Netflix

 

サブスクは「サブスクリプション(subscription)」の略で、商品やサービスを定額で利用できる仕組みです。

つまりサブスクとは、ものやサービスを売り切り型でなく、利用する権利を定額で提供するビジネスモデルのことをいいます。

 

具体的なサービスとしては、Netflixなどの動画配信、Spotifyなどの音楽、楽天マガジンなどの雑誌、といったように様々な分野でサブスクサービスが浸透しています。

 

従来は、商品やサービスを所有する「モノ消費」に価値があったのですが、現在は、体験の価値を重視する「コト消費」に消費行動が変化しています。

また、AIによるパーソナライズ技術の進化もサブスクビジネスが成長する後押しになりました。

 

株式会社ICT総研の調査によると、サブスクリプションサービス市場は2019年に1兆1,440億円、2020年には1兆2,490億円になると予想されており、日本国内において珍しい超成長市場です。

Google Trendの検索も見てみると、2019年から一気に注目度が高まっているのがよくわかります。

サブスク

 

サブスクが注目されている理由

では、サブスクがビジネスとして注目されるようになった理由を、消費者と事業者の観点から、それぞれ見ていきたいと思います。

消費者のメリット

①コストパフォマンスがよい

消費者観点で大きなメリットなのが、コストパフォーマンスが高いことです。

普段からよく利用するものであれば、定額利用でたくさん利用すれば、1つあたりの単価が安く利用できます。

また、様々なものをお試しで使ってみることができるのも、サブスクのお得な活用法です。

 

②選ぶ手間が省ける

多くのサブスクサービスでは、事業者が商品を選んで届けてくれたり、AIがあなたにあわせたおすすめを示してくれます。

自分だったら探せなかったようなものが見つかるだけでなく、どんなものが送られてくるかというワクワク感を味わうこともできます。

 

③自分好みにカスタマイズされていく

サブスクサービスは、何度も使うことで、自分の好みをAiが学習していき、一人ひとりの趣味趣向にあわせた商品をおすすめしてくれるようになります。

継続して利用し続けることで、使い勝手がどんどん高まっていくのもサブスクのメリットです。

 

事業者のメリット

①売上が安定する

ワンショット販売の売り切り型から、継続販売であるサブスクにビジネスモデルを切り替えることで、売上が安定化することが事業者の最大のメリットです。

日本サブスクリプションビジネス振興会のHPによると、下記のように書かれています。

単発で収益を上げ続ける労働集約ビジネスやフロー型ビジネスは季節や景気などの外部要因に左右されやすく、計画投資や計画生産が行いにくく、さらには経営者の精神衛生上も良いとは言えないはずです。
これに対しサブスクリプションビジネスは顧客数・顧客単価・契約期間の3軸で経営状態を把握することで、計画も立てやすく、経営者も過度なストレスを抱えにくく、業績の上下も比較的緩やかな為、時間的猶予が生まれ対処がしやすいといわれています。
日本サブスクリプションビジネス振興会 ホームページより

事業者は、サブスクモデルの事業を行うことで、売上予測がしやすくなるだけでなく、景気に左右されにくくなるのです

コロナウィルスの影響で、売り切り型ビジネスモデルの企業はかなりダメージをうけました。

一方、サブスクモデルのビジネスモデルで事業をしている会社は、その影響を最小限に留めることができました。

年間契約など一年分の利用料金を一括でもらうことができていれば、事業予測がさらに立てやすくなるだけでなく、資金面でもキャッシュを早期に回収できるため経営はさらに安定します。

 

②消費者の声を収集できる

多くのサブスクビジネスでは、顧客データが蓄積され、顧客の声を直接収集できるため、施策のPDCAがまわしやすいという利点があります。

それらのデータを、商品選定精度をあげたり、新規サービスに活用することで、消費者のロイヤリティを高めることができます。

 

現代は消費者のニーズが多様化していて、メーカーは消費者の声をどのように収集するかに苦しんでいます。

自社で企画・生産した商品を、流通業者を通さないで、自社ECサイトなどを通じて直接消費者に販売するビジネスモデルであるD2C(Direct to Consumer)に注目が集まっているのも、そういった背景があるからです。

 

サブスク型ビジネスモデルのポイント

サブスク

サブスク型のビジネスモデルについて、もう少し詳しくみていきましょう。

 

サブスクサービスの月額売上は、

月額売上 = 定額料金 × ユーザー数

です。

 

そうすると、翌月の売上は、

月額売上(翌月)= 月額売上(先月) + 解約による売上減 + 新規契約による売上増

と表すことができます。

 

ここで注目するべきポイントは、

①先月の売上がベースとなり、翌月の売上が積み上がっていく

②解約されるとその分売上は減少する

ということです。

この、積み上げ式の売上構造こそ、サブスクが不景気に強いと言われる所以です。

 

つまり、サブスクビジネスで収益を安定的に生み続けるためには、解約による損失をいかに最小に抑えるかが重要なポイントです。

サービスに魅力がなければ、消費者はすぐに飽きて解約してしまいます。

解約を減らすためには、既存顧客がサービスを満足して使い続けてもらうよう、継続的な努力を欠かせないことが大切になります。

サブスクビジネスを成功させるためには、最新のコンテンツを投入し続ける、機能を拡充する、アフターサービスを充実させるなど、消費者のロイヤリティを高める工夫を続け、消費者と長期的な関係性を築くことで、解約を防がなければなりません。

 

さいごに

注目のキーワード「サブスク」について、理解が深まったでしょうか。

興味がでて、もう少し深くサブスクについて勉強したい方は、下記の本を読んで理解を深めましょう。

また、サブスクだけでなく、ビジネス用語を手軽に基礎から学習したい方には、動画で簡単に学習できる【グロービス学び放題】がおすすめです。



「サブスクビジネス」は不況に強いモデルなので、今後もさらに新しいサービスが登場してくると思います。

就活、転職の際には、エントリー先の企業のビジネスモデルがどのような収益構造になっているかについて、できるだけ理解を深めておきましょう。

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