「VUCAの時代」という言葉を聞いたことがありますか?
Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をつなげた言葉で、変化の激しい現代を象徴する言葉です。
2020年、世界はCOVID-19をきっかけに、変化のスピードのギアが一段と早まることは間違いありません。
これまで評価されてきたスキルも、時代の変遷とともに求められる内容が変わってきています。
本記事では、主に大企業に勤める20〜30代の方に向けて、アフターコロナの新時代に求められるニューエリートの「スキル」を旧時代と比較しながら解説したいと思います。
ニューエリートとは
みなさんはこの本をご存知でしょうか。
ピョートル・フェリクス・グジバチさんが書いた、「ニューエリート グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち」という本です。
著者は、Googleで人材育成分野を担当した方で、旧世代のオールドエリートと対比する形で、ニューエリートを定義づけています。
本書は、ポスト資本主義の世界の仕組みをつくる側の人達がどんな特徴を持っているかについて詳しく書かれていますので、まだ読んだことがない方は、ぜひ読んでみてください。
ニューエリートに必要な3つのスキルとは
それでは、アフターコロナ時代に求められる、ニューエリートのスキル3つをご紹介していきます。
ご自身にあてはめながら、読み進めていただければと思います。
1.問いをたてる力
これまでは「問題解決力」や「課題解決力」といったスキルが必要だと言われてきました。
少し先の景色の予測し、現状を正しく分析し、未来予測に基づいた確からしい仮設を導く力です。
例えば、「インバウンド需要が拡大する中、どのようなマーケティング施策を打てば自社のお客様を増やすことができるか」という施策の正解を探すような場面で、これらのスキルは必要とされてきました。
しかし、これからのニューエリートにはそもそもの問い自体を探す「問いをたてる力」が求められます。
コロナの影響は、世界中の誰も予想できなかったものであり、これまでの前提はことごとく水の泡となりました。
こういうときに求められるのは、
「自社の強みは何で、なぜこれが求められているのだろうか?」
「この危機をどのように乗り越え、社会に必要とされ続けるためにできることは何か?」
といったように、問い自体をデザインする力です。
時間軸(過去、現在、未来)、5W1Hなどを巧みに操り、より本質的な問いをたてる力が求められます。
この「問いをたてる力」を鍛えるために必要なのは、そもそも論に立ち返り「疑問」を持つことです。
上司に指示されたことをただ受け入れるのではなく、「なぜこれをしなければならないのか?」「今必要なのはなぜか?」と一瞬立ち止まってみてください。
そうすることで、本質的な問いをたてる癖が習慣化していきます。
2.とりあえず試してみる力
オールドエリートは、頭でっかちな人が多いです。
頭がよいので、結果やリスクを頭で考えがちで、綿密に計画をたて、石橋を叩いて万全の準備をしてから実行に移します。
しかし、今は変化の時代です。
変化のスピードが早い時代では、考えるより行動した方が得られる利益が大きいのです。
一時期大行列をつくっていたタピオカブームも、あちこちで参入が起こると一気にブームは下火になってしまいました。
大きな店舗の出店是非を時間をかけて検討するのではなく、今ある店で出してみる、UberEatsで出店してみるなど、「とりあえず試してみる」ことが大切なのです。
大企業に勤めていると、「とりあえずやってみる」ことのハードルがとてつもなく高いものです。
「〇〇のリスクを確認してから」、「〇〇部にも事前に情報共有を」といった具合に一歩動き出すまでに膨大なエネルギーを要します。
これからのニューエリートをめざすあなたは、承認を得ることに力をさかず、「水面下で個人的に」トライしてみましょう。
上司は見たこともない、わからないものに反対しているだけです。
実際に動き出し、成果が出始めているものは、意外とすんなり乗っかってくるものです。
報告も連絡も相談も必要ありません。
「とりあえずやってみる勇気」が大事です。
3.自らの価値観に従う力
これまでのオールドエリートに求められていたのは、「ルールに従う力」でした。
決められたルールに従ってオペレーションをまわすことが、生産性最大化に寄与したからです。
しかし、変化の激しい現代では、世の中の正解が時々刻々と変化しています。
本来的には、世の中の変化にあわせてルールを都度変更していくのが正しい対応策ですが、組織や人間には「現状維持バイアス」が働きます。
そのため、ルールを変えることは、ルールをつくるよりもエネルギーが必要になります。
昔のルールで惰性的に動いている組織を軌道修正するのは、想像以上に難しいのです。
そこで、必要とされるのが「自らの価値観に従う力」です。
例えば、これまでは満員電車に乗って朝9時にオフィスに出社することが当たり前のルールでした。
そして、そのルールを誰も疑うことなく今まで社会がまわっていたのです。
とはいえ、往復の通勤時間はそもそも時間としてロスしているわけだし、満員電車に乗ることで無駄なエネルギーも消費していました。
これまでもおかしいな?と感じていたものの、コロナの影響でリモートワークが一気に浸透したことでその価値観は一気に変化しています。
社会が変化する前から、これらの非効率にあらがっていたスタートアップの多くはそれほど影響なくリモートワークに移行できましたが、旧来のルールに縛られて準備を怠っていた大企業は、急激な対応を後手に回らざるをえない結果となりました。
また、これまでは営業は現地に行って足で稼ぐのが美徳と言われてきました。
営業をしていた方ならわかると思いますが、訪問営業の場合、実際のアポイントが1時間、往復の移動で2時間、合計3時間が必要になります。
もし、オンラインで営業を実施することができれば、アポイントの1時間だけですむわけです。
アフターコロナの世界では、社会のルールが一変します。
これまでの当たり前は通用しませんし、正解は誰にもわかりません。
自らの価値観に基づいて行動するしかないのです。
アフターコロナ時代のニューエリートには、自らの価値観に従ってルールや仕組みを創造する力が必要になるのです。
さいごに
今COVID-19の影響で、世界は激動の時代となっています。
満員電車、印鑑文化、FAX、無駄な会議などなど…
これまで当たり前だったものが、アフターコロナの世界では一気になくなっていく可能性があります。
何が正解かなのかは、未来になってみなければわかりません。
今できることは、「自ら問いをたて、自らの価値観に従ってとりあえずやってみる」ことだけです。
とりあえずやってみてから、結果をもとに軌道修正し続けていれば、きっと振り返ったときにそれが正解になっているはずです。
本記事では、アフターコロナ時代に活躍するニューエリートに必要な3つのスキルをご紹介してきました。
これからの時代に活躍するニューエリートが大切にしなければならないのは「変化に柔軟に対応し、成長し続けること」です。
オールドエリートが声高に主張する常識が本当に正しいのか?という目線で、常識を疑い続けていきましょう。