コロナ自粛の影響で、入社式やオリエンテーションをZoomなどオンラインで実施された会社も多かったと思います。
今年社会人になった新入社員の方は、「仕事を教えてもらいたいのにオンラインだとどのタイミングで先輩に質問していいかわからない」と、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
また、これから就職活動を控えている21卒、22卒の学生の方は、自分たちの就活はどうなってしまうのか、不景気で採用枠が減ってしまうのではないかと心配していることと思います。
これまでも変化の時代と言われてきましたが、ウィズコロナ、アフターコロナの時代は、これまで以上に劇的な社会変化が待っていることでしょう。
こんな方に読んでほしい
- 早期に活躍できるようになり、必要とされる人材になりたい
- ファーストキャリアで失敗したくない
- 安定した「いい会社」に入りたい
初めて社会人になる経験ですし、誰しもファーストキャリアは「失敗したくない」と考えるものです。
本記事では、若手社会人やこれから就活を行う20代の方に向けて、ファーストキャリアで失敗しないために考えるべきたった一つのことをお話したいと思います。
ファーストキャリアで会社名は重要でない
「ファーストキャリアで失敗しない」と聞いて、みなさんはどんなことを想像したでしょうか。
たとえば、「就職偏差値の高い有名企業に入社することが、ファーストキャリアの成功」と考えた方もいるかもしれません。
ランキングをのぞいてみると、上位には財閥系の不動産会社、テレビ局(キー局)、五大商社など超有名企業が並んでいます。
当時の私も、就活時にこういった情報を意識して、会社を選んでいました。
そして、「就職偏差値の高い会社に入社できた人=勝ち組」だと信じていました。
しかし、社会に出てみると、このランキングが如何に無意味かに気がつきます。
では、なぜこういうランキングを見てしまうかというと、それ以外の判断軸をもちあわせていないからです。
これまで経験した大学受験で絶対とされてきた「偏差値」という価値基準しか知らないため、よくわからない基準で作られたこの情報を疑いもなく受け入れてしまっていたのです。
実際、このランキング上位に入っている会社は、平時は優良企業だったのかもしれません。
しかし、コロナの影響で今後10年安泰かどうかは、誰も予想できなくなりました。
また、この就職偏差値は「定年までその企業に勤めること」を前提につくられています。
「ファースト(=1番目)」キャリアと表現しているとおり、現代においては2度目以降の「転職」は普通のことです。
転職が当たり前になった今、ファーストキャリアでスタートダッシュをするための基準として、就職偏差値や会社名の重要性は相対的に低下しています。
ファーストキャリアで重視すべきポイント
では、ファーストキャリアは何を基準に選べばよいのでしょうか?
ファーストキャリアで重視すべきポイントは、
市場で必要とされるテクニカルスキルをが身につけられるかどうか
です。
テクニカルスキルという言葉の意味を見てみると、このように書いてあります。
テクニカル・スキルとは、ある特定の職務を遂行するのに必要とされる能力。
テクニカル・スキルは職務遂行能力とも言われ、その職務を遂行する上で必要となる専門的な知識や、業務処理能力を指す。職務内容により、その内容は異なってくる。
テクニカル・スキルは、比較的若手(低位)のマネージャに、より必要とされると言われてきていた。出典:グロービス経営大学院HPより一部改変
ファーストキャリアでは、社会で戦う武器(Can)を身につけることが、何より重要です。
なぜテクニカルスキルが重要かというと、テクニカルスキルがあることで次のキャリアに進む際の選択肢の幅が広がるからです。
テクニカルスキルとはどういうことか
ここでいうテクニカルスキルは、一般的に言われている「商品知識」「市場理解」といった抽象的なものではなく、転職市場で応募要件として書かれている業務スキルのことです。
たとえば、法人営業、Webマーケティング、エンジニアの案件の例を記載しておきます。
応募条件(法人営業)
- IT業界における法人営業の実務経験2年以上
- Excel、Word、PowerPoint等の基本的なPCスキルがある方
応募条件(Webマーケティング)
- 事業会社で何かしらのマーケティングを専任者としてオーナーシップを持ってやりきった経験
- Webマーケティングの知識(SEM/SEO等)
応募条件(エンジニア)
- 要件定義からテストまでのウェブシステム開発実務経験
- ウェブシステム開発プロジェクト管理経験
- PHP / Java / Ruby / C# いずれかの豊富な経験
- Linux または Windows のウェブサーバ構築 / 運用の経験
現時点でめざすキャリアゴールを踏まえて、次のステップの手がかりになる案件に応募できるスキルが身につく環境かどうか?という観点で、ファーストキャリアを選ぶのがよいでしょう。
ファーストキャリアで失敗しないためにするべきたった一つのこと
ただ、上記で述べたテクニカルスキルは極論、自学自習でも身に付けられます。
最初は興味関心をもって取り組んだ職種も、実際にやってみたらイメージと違っていた、自分には向いていないと感じた、ということもあるでしょう。
実際、私もファーストキャリアで配属されたのはSEだったのですが、SEはまったく向いておらず、当時は本当にポンコツ社員でした。
なにより、SEとしてスキルアップしていくことにまったく興味がもてなかったのは致命的でした。
私は、その後運良く新規事業の部署に異動することができ、自分自身の適性が活かせる仕事を見つけることができました。
では、ファーストキャリアにおいて、テクニカルスキルを習得することより大事なこととは一体何でしょうか。
ファーストキャリアで失敗しないためにするべきたった一つのこととは、
メンターを見つけること
です。
なぜメンターを見つけることが重要なのか
なぜ、メンターを見つけることが重要かというと、ファーストキャリアでは社会人基礎力とも言われる「ポータブルスキル」を身に付けることが、最も大事だからです。
厚生労働省のHPによれば、ポータブルスキルは下記のように定義されています。
ポータブルスキルとは、その言葉通り業種や職種が変わっても「持ち運び可能な能力」と定義されます。例えば、「仕事のし方」は「課題を明らかにする」「計画を立てる」「実行する」という3つに分類していますが、これはどのような仕事でも共通する概念です。また、多くの仕事は一人で完結させることはできませんので、「人との関わり方」として「社内対応」「社外対応」「部下マネジメント」の3つに分類しました。
従来の労働市場では、年齢が上がれば上がるほど、即戦力としてわかりやすい「専門知識・専門技術」が重視されてきましたが、業種や職種を超えた労働移動を実現するにはこのポータブルスキルの概念をマッチング現場に持ち込むことが必要です。
もう少しわかりやすく図にまとめられているのがこちらです。
出典:厚生労働省HP 「“ポータブルスキル”活用研修 講義者用テキスト」より
並べられれば当たり前に見えるこれらのスキルですが、これらは独力で身につけるがとても難しいスキルばかりなのです。
というのも、これらのポータブルスキルは、身につけた人に指摘されなければ、自分自身で気づけないことが多いです。
また、書いてあることを理解することは簡単にできますが、実際にやってみると意外と難しいことが多く、習得には実践での経験を積まなければならず、時間とエネルギーがかかります。
たとえば、新人あるあるの具体例が「締切当日トラブル」です。
ある新人が、上司からA社提出用の市場調査を、明後日までに頼まれたとします。
その新人は「明後日に100%の完成度の資料を提出する」というスケジュールで前日の夜残業をして必死に準備しました。
しかし、締切当日蓋を開けてみると、50%の完成度の資料が提出され、結果上司を巻き込んで翌日も残業するはめになったというよくあるトラブルです。
完成度は業務を依頼した上司の目線で図られなければならないにも関わらず、新人は自分基準の100%を目指して、上司目線の確認を怠りました。
上司にもっと早い段階で、資料の方向性を確認しておけばこのようなトラブルはおきなかったでしょう。
このようなトラブルを避けるため、よく言われる金言に「50点で構わないから早く出せ」というものがあります。
「仕事のし方」というスキルを身につけ、悪いクセを矯正するのは想像以上に大変なのです。
これまでは、先輩社員が時間とエネルギーを割いて、「仕事のし方」や「人との関わり方」を教えてくれました。
しかし、これからの時代は、ポータブルスキルを獲得する環境を無条件で得られる人は減ってくると思います。
なぜなら、コロナの影響で自社の売上をあげることに必至になり、経営者や先輩社員が新人教育にかける物理的な時間を確保することが難しくなるからです。
また、オンライン化が加速することで、自然に教えたり学んだりする環境も奪われることになります。
今この状況だから一層意識してほしいが、ポータブルスキルを叩き込んでくれる「メンター」を見つけることの重要性です。
ファーストキャリアで失敗しないためには、自分に「無償のエネルギーを注いでくれる尊敬できる先輩または上司(=メンター)」を見つけ、その人のもとで働く環境を勝ち取ることが近道なのです。
さいごに
本記事では、ファーストキャリアを失敗しないために、メンターを見つけることの重要性をお伝えしてきました。
最後に考えていただきたいのは、「あなたに無償の愛でポータブルスキルを叩き込んでくれるメンターに対して、あなたが貢献できることはなにか?」ということです。
今一度、立ち止まって考えてください。
メンターにあなたがGIVEできるものがきっとあるはずです。
それは、あなたの労働力かもしれないし、学生同士のネットワークかもしれないし、雑用かもしれないし、癒やしかもしれません。
これまでは、新入社員として入社したら、ポータブルスキルを教育してもらえる環境は当たり前に用意されていました。
しかし、ポータブルスキルを獲得する環境は、自ら勝ち取らなければならない世の中になるのです。
ただ、座っていれば誰かが育ててくれる環境がなくなりつつあることを自覚して、ファーストキャリアでは積極的に行動し、自ら環境をつくりだし、ポータブルスキルを必ず手に入れてください。
そうすれば、あなたは次にどこにいっても活躍できる最低限のスタートラインにたつことができるでしょう。
どうしてもメンターが見つからない、入社までにノウハウの一部だけでも知っておきたいという方は、元ライフネット生命会長の岩瀬大輔氏が書いた「入社1年目の教科書」を読むのをおすすめします。
先程例にだした金言の「50点で構わないから早く出せ」も本書にのっています。
最高のメンターを見つけ、失敗しないファーストキャリアを自らの力で手繰り寄せてください。
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