就職活動や転職の面接で、「就職活動の軸」や「志望動機」を聞かれることが多いと思います。
そんなとき、みなさんはなんと回答をしていますか?
結構多くの就活生や、転職志望者が、福利厚生を志望理由にあげるように思います。
しかし、採用面接官としてたくさんの人にお会いした立場から言わせていただくと、この回答はあまりおすすめしません。
採用面接の場で、福利厚生を志望理由にあげないほうがよい理由について解説します。
福利厚生は多くの人が気になっている
みなさんは、就職先や転職先をどのような基準で選びますか?
リクルートキャリア 就職みらい研究所が行ったアンケート調査によると、20年卒学生の就職先を確定する際に決め手になった項目の堂々第2位が、福利厚生や手当が充実しているという項目で、約35%の学生が重視しているという結果でした。
引用:就職プロセス調査(2020年卒)【確定版】「2020年度3月度(卒業時点)内定状況」
リクルートキャリア 就職みらい研究所
働く上で、福利厚生がしっかりしている会社のほうが働きやすいというのは間違いありません。
候補者として、福利厚生が会社選びの基準になるのは納得といえるかもしれません。
志望動機で福利厚生を言わない理由は「メリットがない」から
しかし、福利厚生を会社選びで重視していることを、面接でストレートに伝えることはおすすめできません。
みなさんに質問ですが、採用面接で目指すゴールはなんですか?
おそらく、ほとんどの方が面接を受けた企業の面接を突破し、内定をもらうことだと思います。
では、面接の場面で
と聞かれたときに、
と答えることは、面接合格、内定ゲットにつながるでしょうか?
面接官の立場になって考えてみてください。
志望動機で「福利厚生がいい会社」と答える学生や応募者に、みなさんはどんな印象を持ちますか?
- 働くことや仕事に対してあまり興味がないのではないか
- 会社にのっかろうとしている人なのではないか
- 責任ある仕事を任せにくいのではないか
面接官として福利厚生を志望理由として聞くと、おおよそネガティブな印象を持ってしまいます。
面接官は、面接を通じて「この方は会社で活躍してくれそうか」という目線で候補者の方を見ています。
その観点で、福利厚生がいい会社を志望理由として伝えることは、メリットがないといえます。
福利厚生とは何か?
このように質問されて、明確に答えられる人はほとんどいないのではないでしょうか。
では、多くの候補者が働く上で気になっている「福利厚生」とはいったい何なのでしょうか?
そもそも、福利厚生は大きく「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2つに分けられます。
【法定福利厚生】
法律で、企業が費用を負担して従業員に提供しなければならないと定められているもの。
例)社会保険(雇用保険、健康保険、介護保険、労災保険、厚生年金保険)、子ども・子育て拠出金 等
【法定外福利厚生】
企業が独自に従業員のために提供している制度。
例)住宅手当、単身赴任手当、社員食堂、通勤交通費、スポーツクラブ等の施設利用、健康診断や人間ドックの受診料、退職金 等
法定福利厚生については、法律で義務付けられた福利厚生なので、これが満たされていない会社はコンプライアンス的に厳しいと思いますし、ブラック企業である可能性が高いと思います。
なので、法定福利厚生が遵守されている会社かどうかはきっちりと確認するべきです。
一方みなさんが志望動機として重視する「福利厚生」からイメージするのは、おそらく法定外福利厚生の方ではないでしょうか。
法定外福利厚生を充実させるためには、何より会社の経営が安定していなければ継続的に制度を運営できないですし、働きやすい環境を整備する会社は「従業員を大切にしてくれそう」という印象を持ちます。
最近では、リモートワークに対応して、在宅勤務の手当を導入したり、リモート飲み会を支援するような制度を導入している会社もあるようです。
福利厚生といっても、いろいろな要素があります。
漠然と福利厚生がいい会社で働きたいという志望動機は、会社にのっかろうとする印象を拭えません。
どういう理由で福利厚生を重視しているのか、具体的にどんな制度を重視しているのかまで、しっかり思考することが重要です。
まとめ
会社選びの基準として、「福利厚生」を重視すること自体は全く悪いことではありません。
むしろ、法定福利厚生を遵守していないような会社に間違って入社してしまえば、健康保険や労災保険などに加入しておらず、トラブルになってしまうこともあるので、注意が必要です。
ただ、福利厚生を基準に会社選びをしていることを、採用面接の場でストレートに伝えることには注意が必要です。
採用面接の目的は、候補者と企業とのマッチングであり、候補者にとってのゴールは内定を勝ち取ることにあるからです。
面接では、企業で活躍してくれそうなイメージは伝わるようなPRをする必要があります。
仮に、福利厚生をベースにPRするとしても、会社で活躍してくれそうな方向でアピールするべきです。
例えば、
のように、会社で活躍することをベースに福利厚生の必要性をPRすべきだと思います。
多くの候補者の方は、本音で質問に回答をしすぎることで、面接で損をしているなと感じます。
繰り返しになりますが、採用面接は候補者と企業とのマッチングの場です。
会社目線で、どのような人材を採用したいかという目線も忘れずに、質問の回答を準備しましょう。