MBA取得を目指す理由はさまざまだと思います。
海外でMBAを取得するのは金銭的にもいろいろ厳しいけど、「国内でMBAを取得するのにどんな準備や対策が必要なんだろう」と興味を持たれる方も多いかもしれません。
国内MBAは受験人数がそれほど多くないことから、出回っている情報が少ないのが現状です。
私は慶應義塾大学と早稲田大学を受験しましたが、そのときも情報収集にかなり苦労しました。
この記事では、国内MBAの試験対策と準備について、私自身の受験経験を踏まえて、解説しています。
国内MBAの準備はいつからすればよいか
国内MBAの試験は大きくわけて、秋入試と春入試と時期が2回行われることが多いです。
秋入試は9〜12月ごろ、春入試は1月ごろ出願するのが一般的です。
京都大学や一橋大学などの国立大学系は、年に1回しか受験が行われていませんが、青山学院大学、法政大学、明治大学などのように年3回以上入試を行っている大学もあります。
秋入試を目指す場合、7月くらいには準備を始めておくのがよいでしょう。
国内MBAはそれほど難易度が高い試験ではないので、3ヶ月もあれば充分に対策可能です。
早い方だと1ヶ月もかからないくらいのスピードで準備できてしまいます。
ビジネス経験が浅く、文章力に自身がない場合は、半年くらい時間に余裕をもって対策を行えば、万全の状態で試験に望むことができると思います。
万が一準備が遅れた方は、募集回数が多い大学を目指しましょう。
国内MBAはどんな対策が必要か
国内MBAの入試は学校によって内容は異なりますが、大きく①出願書類(研究計画書等)、②小論文、③面接、④英語の4分野の対策が必要になります。
それぞれの分野で、どのような対策が必要になるかについてお話します。
①出願書類(研究計画書)
ほとんどすべての大学院で対策が必要なのが、志望理由や研究計画をまとめた出願書類です。
研究計画書と書かれていたり、志望理由書と呼ばれたり、学校により呼び名はまちまちです。
海外MBAだと、エッセイと呼ばれるものがこれに該当します。国内MBAの入試では、この出願書類が合否に大きく影響してきます。
これまでどんなことをしてきて、どのような課題意識を持っているか、MBAでどんなことを学びたいかといった内容を、出願書類にまとめます。
これまでの経験を言語化し、本当にMBAを目指したいかについて、改めて自分と向き合います。
入試対策というだけでなく、キャリアの棚卸しという観点でもとても重要なプロセスです。
自分自身が入学時点で興味関心を持った内容をどのように研究テーマに結びつけていくか、深く考察しなければいけません。
私も、出願書類の準備にはかなり力を入れました。
出願前に、作成した書類を当時の上司に添削してもらい、何度も書き直しました。
ただ、研究計画は学校間で重複する内容も多いため、一度完成すれば本質の軸の部分は転用可能で無駄になることはありません。
自身のキャリアにも大きく影響することなので、「なぜMBAを志すのか」というストーリーについて、腹落ちするまで何度も吟味しましょう。
②小論文
難易度の高い大学院で課されられることが多い科目が「小論文」です。
慶應義塾大学をはじめ、一橋大学、早稲田大学、京都大学といった学校では小論文が課せられています。
小論文では、経営に関する時事的なトピックスをもとに、自分なりの考えを論理的にまとめる力が試されます。
単にニュースに触れるだけではなく、日常的に経済、経営の話題に対して、自分だったらどのように考えるかを訓練しておくとよいでしょう。
直近であれば、コロナウィルスの影響でインバウンド需要が減少する中、旅行業界の経営者だったらどのような対策を講じるべきかなど、具体的なテーマについて考えをまとめるトレーニングをしておきましょう。
私自身小論文を受けてみて、対策でアドバイスしたい点が2つあります。
1つ目は、時間を計って練習することです。
試験当日は、制限時間内に回答をまとめなければいけません。
自分の意見を時間内に一つのストーリーに落とし込み、文章としてまとめることは、意外と大変です。
時間内に論理的な文章をつくりあげるために、「主張→理由→具体例→主張」といった論展開の一般的な型を身につけ、時間内に完成させるトレーニングを積む必要があります。
2つ目は、実際に書いて練習することです。
会場では、手書きで試験を行う学校がほとんどです。
つまり、回答を時間内に書ききらないといけないのです。
意外と盲点なのは、普段パソコンやスマホになれきった生活をしていると、大量の文字を早く書くことが日常生活であまりないため、漢字を思い出すのに時間がかかるなど、思いもよらぬ壁にぶちあたります。
なにより、手が疲れます。
時間内に手書きするということも、試験までに慣れておくと当日焦ることがなくなるでしょう。
③面接
国内MBAの面接は、転職活動の面接をイメージしていただければわかりやすいと思います。
大学の教官が2〜3名ほど並んだ部屋で、志望理由など聞かれた質問に回答する形式です。
事前に提出している出願書類に沿った質問が多く、ビジネス経験のある方であれば特に対策することなく対応できると思います。
これは卒業してから感じたことですが、面接では論理的思考力や、コミュニケーション力などが見られているのはもちろんのこと、協調性も重視されているのではないかと思います。
というのも、MBAのカリキュラムはグループワークなどチームで作業することが多いので、ただビジネスで実績があるとか、論理的な主張ができるというだけではない要素も考慮されているのではないかと個人的に思います。
④英語
学校によっては、試験科目に英語が課せられることがあります。
日本語で授業を行う学校では、英語の比重はそれほど高くない印象です。
簡単な文章を読んで訳す「リーディング」ができれば、合格にはさほど影響しないのではないかと思います。
入学後も、日本語で授業が行われる場合、英語ができなくても困ることはそれほど多くないです。
ただ、ビジネスにおいて英語が使えることは、それだけ選択肢を広げることになるので、試験科目に英語があるのであれば、これを機に勉強してみるのもよいかもしれません。
国内MBA対策に予備校は必要か?
国内MBA取得に特化した予備校を利用する場合、数万円〜数十万円の費用がかかります。
できるなら、独学で準備してこれらの費用を節約したいと考えるのではないでしょうか。
卒業した今から振り返れば、国内MBAの試験対策のために予備校に通う必要はなかったかもしれないと思います。
とはいえ、私自身小論文対策で予備校を利用しました。
どうしても受験に失敗したくない方や、準備に時間がかけられないといった方には予備校はおすすめです。
では、予備校を利用したことで得られるメリットについてまとめておきます。
メリット① 過去問が入手できる
前述したとおり、国内MBAの情報は意外とでていません。
大学入試だと赤本などを書店で購入することで過去問を知ることができますが、国内MBAの過去問を入手したい場合、個別で取り寄せたり、大学に行ってコピーしたりしなければいけないのです。
学校によっては閲覧しかできない大学もあります。
予備校では、テキストに過去問がのっていたり、過去問のストックをコピーできたりするので、過去問を簡単に入手できる点は予備校を活用するメリットです。
メリット② 準備にかかる時間を短縮できる
国内MBAの試験は模範解答がないので、何をどのレベルまで到達したらよいかの基準がわかりにくいです。
合格基準がわからないと、膨大な範囲を準備と対策に費やすことになります。
予備校では、過去実績をもとに、求められる合格基準と範囲を明示してくれるため、到達に必要なレベル感を肌感覚として把握することができます。
優先度の低い内容をやらなくてよいと教えてくれるのはとてもありがたいです。
メリット③ 強制的に練習できる
個人的にありがたかったのは、強制力です。
社会人として働きながら国内MBAの対策準備を進めていると、日々の忙しさから準備を後回しにしがちです。
特に小論文を実際に書いて練習するとなると、重要だとわかっていてもなかなか腰が重くなりがちです。
予備校に通うことで半強制的に練習することになるので、意思が弱い私のような人間にはおすすめです。
また、実際に書いたものを添削してくれるので、第三者からのフィードバックが得られるという点も大きなメリットです。
さいごに
国内MBAの競争倍率は平均で1.6倍、難関校で2~3倍と、大学入試に比べればかなり低いです。
また、実績のある社会人は学校側も優先的に入学させたいと考えているため、さらに合格可能性は高まってくると思います。
また、2回以上受験を実施している大学の場合、複数回の受験が可能です。
1回目の秋入試で不合格だったとしても、冬入試で再チャレンジすることができます。
2回受験を実施している大学では、1回目の秋入試の方が募集人数が多く、倍率が低い傾向があるので、準備が間に合うようであれば秋入試に向けて対策をすすめるのがおすすめです。
国内MBAを取得すると、様々なメリットがあります。
どんなメリットがあるかについて興味がある方は、こちらの記事も是非参考にしてみてください。
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