人間誰しも環境が変わるタイミングは、ストレスフルな状態になりがちです。
新入社員の方は、これまでの学生生活と一変した社会人として、見ること聞くこと初めてづくしという環境の中で、周囲の期待に応えようと必死にもがき苦しんでいるのではないでしょうか。
ここ数年、メンタルで病んでしまう新入社員、若手社員が増えていると言われています。
- 食欲がない
- よく眠れない
- 1日中気分が落ち込んでいる
こういった症状に心当たりのある方は、要注意です!!
本記事では、新入社員がメンタルになりやすい原因と、そうならないためのアドバイスをお伝えしていこうと思います。
新入社員はメンタルになりやすい
社員の健康に詳しい産業医の方とお話したときに驚いたのが、最近の新入社員や若手社員で「適応障害」と診断される人が増えているというお話でした。
※産業医:企業で労働者の健康管理などについて、専門的な立場から指導・
厚生労働省のHPによると、適応障害とは下記の状態を言うそうです。
適応障害は、ある特定の状況や出来事が、その人にとってとてもつらく耐えがたく感じられ、そのために気分や行動面に症状が現れるものです。
たとえば憂うつな気分や不安感が強くなるため、涙もろくなったり、過剰に心配したり、神経が過敏になったりします。
また、無断欠席や無謀な運転、喧嘩、物を壊すなどの行動面の症状がみられることもあります。
出典;厚生労働省HPより
新入社員が働く環境にうまく適応できないことで、過度のストレスを感じた結果、不安感でドキドキがある、眠れないなど体の症状がでて、その結果、無断欠勤などにもつながってしまうというのはなんとなく心当たりがあります。
私も、入社直後は社会人としてうまく会社に馴染むことができず、大学時代の友人や家族に電話で相談を聞いてもらったことを思い出しました。
メンタルになりやすい新入社員の3つの特徴
では、どんな特徴をもつ人がメンタルに陥りやすいのでしょうか。
先程お話した産業医によると、メンタルを病んでしまう新入社員の傾向として、3つの特徴があるそうです。
①他責的な思考が強い
もともと新入社員ははじめての仕事で慣れないことだらけの不安だらけの環境です。
中でもメンタルになりやすい人の特徴は、そういった慣れない状況でうまくできない原因について
- 「上司や先輩が丁寧に仕事を教えてくれない」
- 「本当はマーケティングの仕事がしたいのに、活躍できる環境を会社が与えてくれない」
のように、適応できていない原因が自分以外の、他人のせいであると他責に話しがちだそうです。
②社会的に未熟
「社会人としての基本的な要素が身についていない社会的に未熟な人」もメンタルになりやすいそうです。
- 敬語が使えない
- 時間が守れない
- 挨拶ができない
といったような方は、コミュニケーションが自分本位である傾向が強いため、社会人で当たり前に求められる報連相(報告・連絡・相談)も苦手なのだと。
③両親と友達のように仲がよい
近年新入社員のメンタルが増えた背景には、両親との関係性が変わってきていることも一因になっているようです。
昔は、親子といえば絶対的な主従の関係があり、家庭内で社会人に共通する心構えの一部が身につけられた要素がありました。
しかし、近年は家庭内でも個人を尊重する関係性が一般化したことで「親子関係が友達化」している人はメンタルになりやすいそうです。
社会人になってこれまで経験したことのない人間関係に適応できず、結果として適応障害やパーソナリティ障害と診断される新入社員、若手社員が増えているのです。
アフターコロナでさらに気をつけたい新入社員のメンタルヘルス
新入社員のメンタル問題が表出化した背景として、力不足の社員を許容することが難しくなった社会全体の環境変化があります。
どこの企業も他社との競争が激化していて、即戦力以外の社員を受け入れ、自社で教育する余力がなくなっています。
私が入社したときは、新入社員は見習いと称して、さまざまな経験を積む環境を与えてもらいました。
もちろん大企業だったからというのはありますが、その頃と今を比べると、ビジネスのスピードも、扱う情報量も、求められる仕事の質も飛躍的に高度化しています。
今の新入社員は、プレゼンや企画などなんでもこなせるスキルが、当然のデフォルトスペックとして要求され、入社後すぐに成果が求められます。
企業側が新入社員は語学や基礎スキルを習得していると過信した結果、新入社員に求める水準はどんどん高くなっていき、その結果企業が求める期待と実際のギャップが、大きなストレスとなって新入社員の負担になっているのです。
ここで心配なのが、コロナ禍でますますこの傾向は助長され、企業が新入社員にかける余力がなくなるのではないかということです。
ウィズコロナ、アフターコロナの世界では、既存社員が新入社員にかけられる余力はこれまで以上になくなり、新入社員のメンタルヘルス問題はさらに拡大するのではないかと心配します。
新入社員はとにかくスキルを身につけろ
では、新入社員がメンタルにならないようにするためにどうしたらよいのでしょうか?
おすすめの処方箋は、「スキルを磨くことでメンタルになりにくい適応力を身につける」というアプローチです。
すでに症状がでている方の場合、環境を変えることでうつ病になるなどの重症化は止められますが、本人のスキルが未熟で環境適応力が低いと、次の環境でもメンタルを再発するケースが多いように思います。
メンタル無限ループに陥らないようにするためには、まずスキルを磨き本人の適応力を高めることが大事です。
新入社員が身につけるスキルと、その方法についてはこちらの記事でくわしく書いているので、ぜひ読んでみてください。
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それでは、メンタルを予防しつつ、スキルを身につけるために必要なポイントを3つご紹介します。
①未熟であるという事実を受け入れる
当たり前のことから書いてしまいましたが、メンタルになりやすい新入社員は他責傾向が強く「自分はできている」と思っていることが多いです。
周囲からローパフォーマーだと思われていても、本人が求められる水準に達していないことを理解していないことがほとんどで、この状態だと一向に成長できません。
上司や先輩が求めている水準や期待値をしっかりと確認し、自分自身の現状とのギャップを把握するところからはじめましょう。
自分のスキル不足の項目について、数字や行動を事実ベースで確認し、その差を認識することが改善の第一歩です。
②具体的な行動目標を定める
未熟であることを認識できたら、「いかに期待値と現状のギャップを埋めるか」を考えていきます。
小さくてもよいので、「今すぐできる具体的な行動目標」を設定してみましょう。
「仕事で成果をだす」、「成長して一人前になる」といったようなあいまいな目標ではなく、「仕事を頼まれたら必ず納期を確認する」といった、具体的な目標に落とし込むことが大切です。
目標をひとつひとつクリアしていきながら、だんだんステップアップをめざしましょう。
新入社員が学ばなければならないことは、とてつもなくたくさんあります。
テクニカルスキルだけでなく、仕事の進め方といったポータブルスキルの面でも、どのスキルを、いつまでに、どのレベルまで到達するのか目標ををしっかりたてましょう。
③期限を決める
行動目標を決め、最終的にここまで到達したいという目標を定めたら、いつまで続けるかという期限を決めます。
期限を決めないと、いつまで続ければよいか不安になってしまいどんどん疲れていってしまいます。
期限を設定することで、ここまでだったらがんばれるとモチベーションになるのです。
短期スパンの継続目標として、まず「2週間」継続することを目標にしましょう。
そして、2週間後に行動を振り返り、次の2週間の行動目標を定めます。
次の区切りは「3ヶ月」です。
3ヶ月経過すると、なんらかの変化を感じているはずです。
新しい行動目標を設定し、テクニカルスキル、ポータブルスキルの両面をどんどん成長させていきましょう。
3ヶ月後に振り返ってみて、自身の成長を感じられなかったり、絶対にこの環境は違うと確信が持てた場合については、勇気をもって環境を変えましょう。
ストレスの原因が職場環境にある場合、働く環境を変えることで改善する可能性があります。
希望の職種で働くことができたり、人間関係が変ったりすることで、ストレス要因を取り除くことができ、自分にあった環境に出会えるかもしれません。
ただし、スキルが未熟だと
スキルがない → 周囲から評価されない → 自分にこの会社があっていないと思う → ストレスで体調を崩す → 辞める
という無限ループに陥るので、くれぐれも気をつけてください。
さいごに
新入社員も転職直後も新しい職場環境で慣れるまでは、自分が想像している以上に気を使うのでストレスが高い状態になりがちです。
そんな環境でもバリバリ活躍するためには、自らのスキルが自分の身を守ってくれます。
アフターコロナの世界は、ファーストキャリアでスキルを身につける環境を得にくくなると予想されます。
特に、ポータブルスキルの習得は時間がかかるので、自ら積極的にその環境を手に入れる努力をしなければいけません。
尊敬できるメンターを見つけ、「自分はどこでも戦える」と自信がもてる状態に早く成長しましょう。
成長できる環境を手にするために、メンターに自分がお返しできるGiveが何かを改めて考えておきましょう。
あと、レジリエンスの考え方もストレスとの付き合い方に重要になってくるので、それについてはこちらの記事もぜひ読んでみてください。
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