みなさんは1ヶ月以上の長期休暇って、とったことありますか?
僕はサラリーマン時代、自分の居場所がなくなるのが怖くて、一度も長期休暇をとったことがありませんでした。
また、キャリアの中断がこわくて、転職の際も間隔をあけることなく働き続けてきました。
しかし、現在は会社を離れ、人生初めてのキャリアブレイクを経験中です。
日本人って真面目な性格なので、なかなか長期で休むのって勇気が必要で、踏み切れないですよね?
とはいえ、現代は変化の激しい時代です。
本記事では、人生100年時代のキャリア形成に、戦略的に長期休暇を取得する「サバティカル」というキーワードについてお話したいと思います。
戦略的長期休暇 サバティカルとは
みなさんは「サバティカル」という言葉を聞いたことはありますか?
Wikipediaによると、何をやってもよい長期休暇のことを「サバティカル」といいます。
サバティカル(英: Sabbatical)とは、使途に制限がない職務を離れた長期休暇のこと。
(引用)Wikipediaより
僕がこの言葉を知ったのは、MBA時代です。
「先生がサバティカルで半年ほど海外に行ってしまう」という話題になり、サバティカル??と頭にハテナが浮かんだことを覚えています。
サバティカルは、大学教員の世界では一般的な制度のようで、制度を利用して普段なかなかできない長期研究や、執筆を行ったりするのです。
ヨーロッパではワーク・ライフ・バランスが進んでいて、一般的なビジネスの世界でもサバティカルが浸透しています。
日本でも導入例は少ないですが、ヤフー、ソニー、リクルートなど、一部企業で長期休暇の制度が導入されはじめています。
経済産業省が平成30年にまとめた「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」報告書の中で、ビジネスパーソンが自らのキャリアや働き方の棚卸しを行い、学び直しを行うための「サバティカル休暇」について、企業の導入を推進するとしています。
企業による「サバティカル休暇」等の個人の学び直しや振り返りを支援するための制度整備を促進するため、そのような制度を整備する企業に対する助成の在り方について関係省庁と連携して検討する。
出典:経済産業省 我が国産業における人材力強化に向けた研究会」(人材力研究会)報告書
人生100年時代のキャリアに必要なサバティカル
みなさんは、自分が何歳まで働くイメージを持っていますか?
昭和のキャリアでは、大学を卒業して60歳で定年を迎えて、その後は年金で悠々自適に暮らすというライフキャリアが一般的でした。
このライフキャリアだと、だいたい長くて40年くらい働くという想定です。
新卒で企業に就職して、そのまま定年まで1社で勤めるという終身雇用スタイルが王道でした。
今も多くの大企業の制度は、基本的にこの考え方を前提に制度設計がされています。
大企業の制度についてはこちらの記事にまとめているので、ぜひこちらも御覧ください。
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しかし、令和の現代、時代は「人生100年時代」と言われています。
また、少子高齢化が進むこの日本で、労働人口が減少していくことは確実な状況です。
ひょっとすると、これからの世代は最低でも70歳、ひょっとすると80歳まで現役で働くことが当たり前になるかもしれません。
もし、80歳まで働くとなれば、ビジネスパーソンとしてのキャリアは約60年にもなります。
みなさんは休みなく、60年間ずっと第一線で働き続けられるイメージがもてますか?
人生100年時代のビジネスキャリアはマラソンです。
最初の10キロを全力で駆け抜け、そこで力尽きてしまっては、残りの距離を走り切ることができません。
私達は、60年走り続けられる体力をつけ、途中でしっかり給水をとりながら、エネルギーをチャージする必要があるのです。
ビジネスキャリアにおける給水こそ、「サバティカル」です。
ビジネスの世界で没頭していると、どうしても目の前の課題解決に目がむいてしまいます。
60年戦い続けられるビジネス戦闘力を身につけるには、時々でそれまでの経験を棚卸しして、学びを深める能力開発のタイミングが必要です。
自らが常に最前線で戦い続けられるよう、成長し続けるためには、「学び」の重要性が増しています。
集中的に学びを行う時間を確保する意味でも、人生100年時代には、サバティカルがとても重要な意味をもってくると思います。
サバティカルのメリット
では、1ヶ月以上の長期休暇であるサバティカルのメリットはどんなものがあるのでしょうか。
ここでは、主に3つのメリットを解説していきたいと思います。
①ビジネス戦闘力があがる
これは単純に学びによって、スキルが向上することでビジネス戦闘力があがるということです。
例えば、これまで金融業界で働いていた人が、テクノロジーに興味を持って、サバティカルを利用してITについて学んだとします。
そうすることで、金融×ITのスキルが身につき、FinTechビジネスで戦える戦闘力が身につくといったような覚醒が起こる可能性があるのです。
また、サバティカル休暇を活用し、海外に留学したり、大学院に進学したるすることもできます。
実際に、私の友人には会社を休職してMBAを取得して、キャリアが劇的に変わった人もいます。
サバティカルを通じて、自ら学びを深めることで専門性を向上させ、ビジネスでのさらなる活躍機会をひろげることができます。
②価値観が多様化する
サバティカルは、学び以外で取得することもあります。
例えば、育休のタイミングでサバティカル休暇を取得して、家族との暮らしを充実させるというケースもあると思います。
これまでは、このような休暇の使い方はキャリアの断絶と敬遠される傾向がありました。
しかし、子育てのリアルを体験することで、そこで必要とされるニーズを理解し、ビジネスに活かすこともできます。
これまで見えていかなった世界に気づき、自らの価値観をひろげる体験ができるのも、サバティカルのメリットです。
③新しいネットワークが生まれる
サバティカル期間中に何らかの活動を行う中で、必ず新しいネットワークが生まれてきます。
そこで発生する交流やつながりが、未知のきっかけを与えてくれることもあります。
こういう偶発的な出会いが生まれる可能性も、新たな取組みをするからこそです。
心地よい枠組みを離れることで、会社でも、家族でもないサードプレイスを見つけることが人生100年時代を戦い抜くためには必要になります。
そういったネットワークが見つかるきっかけになるのも、サバティカルのメリットです。
サバティカルのデメリット
一方、サバティカルで長期休暇を取得するデメリットは何があるのでしょうか。
ここでは、3つのデメリットをみておきたいと思います。
①収入がなくなる
まあ当たり前ですが、休暇なので収入が断絶することがほとんどです。
会社の制度によっては一部有給としてくれる場合もあると思いますが、ほとんどの場合は無収入になります。
サバティカル期間中、収入がない状態で新たなチャレンジを行うためには、それなりにまとまった資金が必要です。
10年スパンで貯金をして、自己投資できる貯金を準備しておきましょう。
②出世に影響する場合がある
大企業の多くは、職能資格制度という人事制度が運用されていて、勤続が長くなると能力があがるという考え方に基づいて制度が設計されています。
サバティカルで長期休暇した場合、勤続していないので能力があがっていないとみなされ、昇進に不利になる場合があるのです。
各社の長期休暇制度にもよりますが、こういった考え方の企業は未だに多いのが現状です。
③履歴書の印象が悪くなる
会社に所属しないで、サバティカルを実践した場合のデメリットは、履歴書に空白期間ができるという点です。
書類審査の段階で、印象が悪くなる可能性があります。
しかし、本当に大切なことは、この期間でどれだけビジネスパーソンとしての戦闘力が高まったかということです。
それがしっかりと伝えられる経験を積んでいれば、特に問題になることはないと思います。
さいごに
戦略的長期休暇「サバティカル」について理解を深めていただけたでしょうか。
人生100年時代を生き抜くためには、仕事⇒学び⇒仕事⇒学びというアウトプットとインプットを交互に繰り返すことで、自らが成長し続けなければいけません。
こういう激動の時代に、キャリアブレイクとしてのサバティカルは、今後より一般的になっていくと思います。
人生100年時代のキャリアにおいて大事なことは、常に学びのタイミングを設けることで、それまでの経験を棚卸しするということです。
そのためには、現業100%でない生活を送ることで、自分自身を俯瞰でみることが重要です。
俯瞰で見るために大事なことは、会社、家族以外のコミュニティに接することです。
MBAを取る、学校に行く、副業をする、ボランティアをする、どんなことでもいいので、自らが情熱をもって取り組める第三のコミュニティを見つけることがサバティカルの第一歩です。
とはいえ、いきなり長期で休暇をとったり、キャリアを中断するのはリスクが高すぎて難しいと思われた方も多いのではないでしょうか。
会社勤めをしていて、副業も難しいという方におすすめなのが、プロボノです。
僕も過去参加したことがありますが、まずはこういう活動からはじめてみるのもいいのではないでしょうか。
プロボノの詳細については、過去のこちらの記事を参考にしてください。
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無理しすぎることなく、しなやかに生き抜いていきましょう。