はじめて部下をもつリーダーになったときや、新人が入って指導をまかされたときなど、指導や育成でぶつかる壁ってありますよね。
自分自身がスキルアップするのと違って、他人は自分が思ったとおりに動いてくれないので、新人を導いていくのは思った以上に大変なことです。
本記事では、若手の部下や新人をもったリーダーになったとき、気をつけるべきポイントと心構えについて解説していきます。
新人の部下や後輩が期待していること
はじめて、新人の部下や後輩ができたとき、気合を入れて「指導しよう」「教育しよう」という姿勢が全面にですぎて、空回りしてしまったことはありませんか?
喉元過ぎれば熱さを忘れるじゃないですが、一旦仕事ができるようになると、できなかったときの自分って意外と思い出せないんです。
そうすると面白いもので、自分が若手で指導されていたときに、されていやだったことを平気でやってしまいます。
そして、あんなに嫌いだった当時のリーダーと同じことをしているなんてことも…
そうならないためにも、まずは若手や新人が何を欲しているか、何に困っているかについて、初心にかえって考える必要があります。
①先輩や上司から認めてほしい
若手や新人のうちは、一日も早く「先輩や上司から認めてほしい」と思っています。
自分が足手まといで迷惑をかけている状態をいち早く抜け出し、貢献していると感じられる状態になりたいのです。
身近にいる上司や先輩から、自分自身に対する成長や貢献に関するフィードバックを楽しみにしています。
②自分の力でなんとかしたい
若手は、できるだけ自分の力でなんとかしたいと思っています。
依頼された仕事を、自分の頭の中にある材料だけでなんとか答えを出そうとするものです。
③気軽に何でも相談したい
先輩から「わからないことがあったら何でも質問してね」と言われても、すべてがわからなさすぎて何を質問していいかがわかりません。
そういう状態なので、簡単なことを質問すると「ちょっとはググって調べてみた?」と言われてしまい、聞いていいこととダメなことの線引きがますますわからなくなります。
若手は、わからないことを気軽に相談できる場所を提供してほしいと心から願っています。
④短期間で成長したい
新人は、「短期間で」「効率的に」自分が成長できる環境を求めています。
当然ですが、最初はできないことばかりなので、どこに力を入れていっていいかわからず、情報の海に溺れてしまいがちです。
短期間で圧倒的に成長するために、まず何から手を付けたらよいか、適切なナビゲートを欲しています。
部下や後輩をもったリーダーとして大切な心構え
部下や後輩、新人を指導・育成していくために、リーダーに求められるスタンスと心構えについて、5つのポイントをお伝えします。
①仕事の意味づけを行う
新人は、いち早く成長したいと思っています。
なので、今やっている仕事が、彼らの成長にどのようにつながっているのか、その仕事にどのような意味や意義があるのかを丁寧に説明することが大切です。
若手や新人の多くは、根が真面目で成長することに貪欲なので、成長につながると感じられれば、一生懸命に取り組んでくれるはずです。
一見回り道で、手間だと感じますが、仕事を依頼する際に、作業のやり方だけではなく、業務上の位置づけや大切さを丁寧に伝えることが、新人のモチベーションにもつながるのです。
②できる限り細かく、具体的に指示する
最初のうちは、とにかく何がわからないのか、何が難しいのかがわからない状態です。
なので、リーダーとして仕事の依頼をする際は、より具体的かつ詳細な指示をだすことが大切です。
特に、スケジュールを「いつまでに」と短期で期間をくぎってお願いすることがポイントです。
本来の期限が3日後だったとき、依頼としては「全部完成していなくてもいいから1日後」とスケジュールを切るようにしましょう。
「いつまでに」、「誰が」、「どの程度まで」作業するのかを両者で合意しておくことで、手戻りが発生しにくくなります。
期限を早めに区切っておけば、修正までのバッファを持つこともできるので、その点でも安心です。
ある程度、依頼した作業がこなせるようになったら、徐々に依頼の抽象度を高めていきます。
「営業の目線で企画を考えて」など想像するヒントを提示してあげることで、少しずつコンセプチュアル・スキルをトレーニングしていきましょう。
③言語化能力、表現力を鍛える
教えるリーダー側の表現力が乏しいことで、コミュニケーションがうまくいっていないことも多くあります。
「自分はこう説明したつもりだったのに、伝わっていなかった」「見れば誰でもわかるからあえて言わなかった」と若手の行動を見てカリカリしているリーダーが結構います。
これまでは「わび・さび」の世界で言葉にしなくても伝わったことも、新人や若手に対しては言葉で丁寧に説明することが大切です。
「見て盗め」ではなく、やってほしいことを明確に言葉で伝えなければなりません。
リーダーとして、語彙力、表現力を高め、伝えたいことをしっかり言語化できるようにトレーニングしていきましょう。
④昔話をする
若手や新人の心に一番響くのが、先輩の昔話です。
あなた自身が、新人だった頃の悩みや失敗談を伝え、自己開示をすることが若手の成長に一番つながります。
若手にとって、先輩が仕事ができなかった時代のことは想像できません。
どんな壁にぶちあたって、どう乗り越えて今に至ったのかは、今その壁にぶちあたっている後輩にとって、間違いなく勇気付けられるエピソードです。
現実には、リーダーとして先輩が十分に自己開示をしないままに、新人や若手のことを一方的に知ろうとしていることが多いです。
人間関係を積み上げていくうえで、片方だけが相手を理解し、合わせていくことには限界があります。
先輩の昔話を伝えることは、後輩や新人の成長起爆剤になるだけでなく、相互理解を深めることにもつながります。
⑤作業時間の見積もり確認を徹底する
業務に慣れてくると、このタスクだったら30分で終わるなとか、なんとなく作業時間のイメージができるようになるものです。
しかし、新人はこの作業時間見積もり精度が著しく低いです。
本人が30分で終わると言っていた作業が、2時間たっても3時間たっても終わらないということは日常茶飯的に起こります。
新人のうちは、自分のスキルと作業の難易度を想像することがうまくできていないため、作業時間を甘めに見積もりがちです。
作業を依頼するときに、「この作業は何時間で終わると思う?」と毎回必ず確認し、実際に何時間かかったかを計測して報告してもらうようにしましょう。
そして、その差分がほぼゼロになるまで、作業時間の見積もり時間の確認を徹底しましょう。
さいごに
喉元過ぎれば熱さを忘れるもので、自分がリーダーになるころには、若手や新人の気持ちを忘れているものです。
逆の立場にたって、若手や新人のころの気持ちを改めて思い返すことはとても大切です。
新人や若手が即戦力として急成長できる環境を、できる限り整えてあげましょう。
新人や若手向けにはこちらの本がおすすめなので、こちらを渡して読んでもらうと、彼らの成長も加速すると思います。
リーダーは優しいだけでも、厳しいだけでもいけません。
後輩や新人の短期的な成長を意識するだけでなく、「5年後にありがとう」といってもらえるのが本物のリーダーです。
中長期目線で若手や後輩の成長を促せる、頼れるリーダーになっていきましょう。