長いキャリアの中で、思いがけず大きな転機を迎えることがあります。
人間関係、人生での役割、日常生活、自己概念など、何らかの変化が起こればそれは「転機」といえます。
しかし、同じ転機でも人によってプラスも受け止めてチャンスとして活かす人がいる一方で、マイナスに感じ取り落ち込んでしまう人もいます。
現代は変化が激しく、「転機」に直面する機会も多くあります。
この記事では、転機とは何かを理解して、その対処法について解説します。
キャリアにおける「転機」とは?
転機とは、「人生において何らかの出来事が起こること、出来事に遭遇すること」です。
また、「予測したことが起きないために、その影響を受けて起きる変化のこと」も転機に該当します。
つまり、何かの出来事が起こる「イベント」も、出来事が怒らない「ノンイベント」も転機なのです。
具体的には次のようなイベントが代表的な転機に該当します。
就職、異動、昇進、降格、転職、結婚、出産、離婚、死別、失業、退職、病気 等
一方で、就職活動に失敗して内定が一つももらえなかった、契約社員から正社員になれると思っていたがダメだったという場合もノンイベントの転機にあたります。
これらのイベントは、環境、生活、お金、人間関係、自分の役割、時間の使い方などが大きく変化するため、肉体的にも精神的にも想像以上に負荷がかかります。
キャリア転機の対処法 シュロスバーグの「4S」点検とは
転機の対処法として有名なのが、シュロスバーグが提唱した「4S」点検です。
シュロスバーグは、転機に直面した際に自分が活用できる4つのリソース(資源)を点検することが重要だと述べています。
「4S」とはSではじまる4つの英単語を指したもので、4S点検をすることで転機を客観的に分析することができ、乗り切るための具体的な行動につなげることができます。
それでは、点検すべき4つのリソースについて、具体的に見ていきましょう。
4S点検がしやすいように具体的な質問形式にしたので、それぞれの質問に回答してみてください。
①Situation(状況)
この状況をどのように受け止めているか?について確認します。
「このような状況になったのはなにが原因ですか?」(原因の確認)
「この状況をどのように感じていますか?」(認知の確認)
「その状況はどれくらい続いていますか(続きますか)?」(期間の確認)
「この出来事は人生にどれくらい影響を与えるインパクトがありますか?」(影響度の確認)
②Self(自己)
人生を自らコントロールできていると考えているかどうか?について確認します。
「この状況に対処する自信はありますか?」(自信の確認)
「この状況で使えそうな知識やスキルはありますか?」(能力の確認)
「これまでの経験でこの状況に近いものはありますか?」(経験の確認)
「人生で大切にしていることは何ですか?」(価値観の確認)
③Support(支援)
どのような支援がどの程度得られるか?について確認します。
「相談できる家族はいますか?」(家族支援の確認)
「自分を励ましてくれる友人はいますか?」(友人支援の確認)
「アドバイスをくれる上司や同僚はいますか?」(周囲の支援の確認)
「この状況を相談できる公的機関や民間団体などを知っていますか?」(外部支援の確認)
④Strategies(戦略)
状況、自己、支援の3つのリソースを踏まえてどのような戦略をたてるか?を確認します。
「今後どのようにしていきたいですか?」(方向性の確認)
「この状況をいつまでに乗り越えようと思いますか?」(期限の確認)
「まず、どんなことに取り組めそうですか?」(行動の確認)
「あなたにとってこの状況をどのように捉えていますか?」(思考の確認)
「4S」点検の具体的活用方法
それでは、具体的な昇進の事例で、4S点検の活用方法についてみていきましょう。
相談者情報
Zさん、30歳、男性、四年制大学卒業
新卒でサービス会社に入社後、営業部に配属され、勤務7年目
家族構成:妻30歳(会社員)
昨年の秋、これまで働いていた営業部内で課長に昇進した。その際上司から、これまでの営業で好成績をあげてきたことを評価しての昇進であると言われ、喜んで話を受けた。しかし、課長になったことで、部下のマネジメント業務に加え、自らもプレイヤーとして業務があるため、思い描いていたイメージのように課長としての仕事が進んでいない。部署の数字を達成するためには、自らがどんどん営業の現場に出るほうが効果的だと現場に出ていたが、放置された部下のモチベーションは下がり、課長としての信頼は急速に下がっている。
①Situation(状況)
Zさんが課長に昇進したことで、課長と部下の信頼関係がうまくできていない状況になっている。
課長として部署の数字を達成することは大事だが、同時に部下のマネジメントも重要な業務だと感じている。
課長として部下の信頼関係を構築するためには、3ヶ月程度の時間が必要だ。
②Self(自己)
プレイヤーから全体を見る立場になることで役割が変化した経験は、大学時代のアメフトでも同様の経験を乗り越えたことがある。
自分の営業力を部下に展開することができれば、課としてのノルマを達成することができると思う。
入社3年目のときのY課長は、自分自身の理想であり、そのマネジメントスタイルをうまく模倣できないか試してみる。
③Support(支援)
自分の理想のマネージャーであるYさんに、どのような心構えで当時課長をやっていたかについて聞いてみる。
最近疲れて遅い時間に帰っても、いつも食事を作って待ってくれていて、自分の話を聞いてくれる妻の存在は大きい。
④Strategies(戦略)
この状況は、自らがさらに管理職としてステップアップするために乗り越えなければならない壁だと思っている。
3ヶ月で部下との信頼関係を構築して、次の3ヶ月で課として成果を安定して出せる体制に持っていく。
そのために、まずこれまで培った営業ノウハウを惜しみなく部下に展開する。
部下の営業力を強化することで、課としての成績があがるだけでなく、自分自身の信頼関係も構築できる。
今後管理職としてステップアップしていくためには、これまでのように自分が数字をあげるプレイヤーとして頑張るのではなく、部下がもっと活躍できる環境を整備するマネジメントの比重を高めていくトレーニングをしなければいけない。
まとめ
転機をうまく乗り越えるために、自分自身がどのような武器を持っているか「4S」点検でまずはリソースを確認することが大切です。
このような転機を迎えたときには、自分自身を客観的に分析でき、転機を乗り切るために多角的に分析できることがとても重要です。
そうすることで、大きな環境変化や、予期していなかった転機にもうまく対応することができることでしょう。
しかし、転機にぶちあたっているときに自分一人で客観的に分析することは簡単ではありません。
こういう転機の状況では、一定距離のある友人やビジネスパートナーに相談するのがおすすめです。
家族や親友は現状維持バイアスが働くため、あなたにとって最善の判断をしてくれない可能性があるからです。
もし、そういう存在がいない場合はプロのサービスを活用するのもありです。
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初回の相談は無料なので、登録して相談してみるといいと思います。